あなただけのラブストーリー
国籍を超える想いとは?
成婚コンシェルジュ後藤は、担当している会員 美玲が訪れるのを待ちながら、しばし考えにふけっていた。
美玲が初めてここにやってきたのは夏の初め、中国籍の彼女は、キャリア志向を持つ女性で日本企業に役員秘書として勤め、なおかつ容姿端麗な女性でもあった。 上海で生まれ育った美玲だが、大の日本びいきで古風なところもあり、日本の大学で経済学を学んだ。 背が小さく小柄で実に可愛らしい美鈴は、日本語はもちろん英語も堪能で、今は両親と共に日本で生活している。
そんな彼女が、日本人の男性と真剣に交際・
結婚を考えることも自然の流れのように思えた。
外見も愛らしい彼女には、パーティーなどに参加すると、いつも多数のリクエストが寄せられた。 ただ、いざ“交際”という段階になると、それ以上前には進まない。 5人近くの人と交際まではいったのだが、どうしても二回目以降に繋がらない。
もちろん彼女は性格もよく、可愛らしい人で問題があるわけではない。美玲の方からお断わりをするケースもあったが、多くの場合は、どうしても男性の方が「国籍」の問題で二の足を踏んでしまう。
それでも、結婚に対して前向きで明るく、いつも会社帰りに銀座店に顔を出してくれる美玲のためにも、なんとか良い出会いをセッティングしたい、と後藤は考えあぐねていた。
入会から4ヶ月が過ぎたころ、ついに運命の出会いが訪れた。
後藤は、美鈴がパーティーに参加する際、事前に参加者の中で数人ほど美玲の性格や条件に合いそうな方をオススメしておいた。パーティーでは、短い時間で多くの方と出会うので、前もって絞られた方に注目しておくことがポイントになる。
後藤の思惑どおり、美玲はオススメされた方の中から純一という男性に良い印象を持った。また、純一も美鈴と同じ気持ちであった。
さあさっそく、本格的な交際がスタート!と思いきや、事件が起きた。
なんと純一が会社の階段から落ち、足を骨折してしまったのだ。それも重度の複雑骨折、彼は長期の入院を余儀なくされた。
これから本番!という時に、後藤もさすがに参ってしまった。ここで二人の気持ちの温度が下がると、うまくいかなくなることが多い。
なんとか二人のモチベーションを維持する方法を考え、美玲に病院へお見舞いに行くことを勧めた。
まだ出会って間もないが、相手が大変な時に思いやる気持ちを示せば、新たな扉が開かれる気がした。 美玲が見舞いに訪れると、純一は心から喜び、感謝の意を示してくれた。
退院した後も彼家の近くまで、毎週のように会いにいった。退院したての純一は、まだあまり歩けず、会うのはいつも駅前のファミレスぐらいだったが、それでもひたむきな優しさを見せる美玲に純一は強く惹かれていった。
美玲も、純一への気持ちは特別なものになっていた。親の不動産会社を継ぎ、大人でいつも落ち着いた姿勢、誠実で思いやりのある性格、まっすぐで少年のように純粋な彼に、美玲は一生ついていきたい、という気持ちを固めていたのだ。だが、あまり押しが強い方ではない純一に、美玲は少し物足りなさも感じていた。まだ足が完治していないので仕方ないのが、いつも自分が彼の家の近くまで行くだけ。
後藤は彼女の気持ちを察し、純一の専任の成婚コンシェルジュにその事を伝えた。
しかし、実は純一の中では、美玲への気持ちは既に決まっていた。
他の女性との交際は取りやめ、美玲ひとりとの付き合いに絞っていた。
また、プロポーズの準備も自分なりに着々と進めていたのだ。彼の秘めたる思いはバレンタインデーの日に花開いた。
純一は銀座の素敵なレストランへ美玲を招待し、正式にプロポーズ。 二人の想いはついに実を結んだ。
二人の間には「国籍」という壁があったのかもしれない。
しかし、まっすぐ純粋に相手を思う気持ちが、国籍の壁を超える力へと変わったのだろう。
少なくとも純一に打算はなかった。自分を心から支えてくれるのは美玲しかしない!と思ったのだ。
二人が結婚報告の挨拶に訪れてくれた後、銀座店スタッフは全員でお見送りをした。 まだ杖をつく純一に優しく寄り添う美玲の姿はほほえましく、これ以上にないカップルだと、後藤は改めて実感した。
そんな二人の幸せな姿が、これからの自分への自信にもつながり、喜びもひとしおなのだ。
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