あなただけのラブストーリー
ミッションコンプリート 第2話
岡田と伊藤のふたりの成婚コンシェルジュにしても、片や1年経ってもパートナーを得られなかった不遇の女性会員として、片や条件は申し分ないながらも女性経験なし、と公言してはばからない奥手の男性会員として、他の会員さんよりさらに気になる存在だったのだが、まずは仲良く連れ立って出かけて行ったので一安心、といったところであった。
「あのふたり、うまくいくといいんですけどねえ」
「ホントですね……でもちょっと心配」
すっかり親のような心境のふたりの成婚コンシェルジュであったが、その日のうちに岡田の元へ隆志からメールが届いたのだった。
「岡田さま 冴子さんとふたりで話をしたところ、彼女もドライブが大好きだということなので、今度ぜひドライブに行こう、と意気投合しました。頑張って行ってきます!」
「伊藤さん、あのふたり、今度ドライブに行くそうですよ」
社内で隣り合って座る伊藤に、岡田は思わず声をかけた。伊藤も思わず満面の笑みだ。
「あら、よかったわねー。じゃあうまくいくかもしれないわね!」
「そうですねー、うまくいくといいですねえ」
ふたりの初デートについては、成婚コンシェルジュとしては相談がない限り黙って見守るしかない。ふたりはやきもきしながらデートの成功を祈るのだった。
「あら……ドライブって、ずいぶん遠くまで行ったのね」
隆志からのメールには、山梨の温泉まで日帰りドライブをした、とある。もっと近いところで軽くドライブをするものとばかり思っていた岡田は、思いの他遠くまで足を伸ばしたことに少し驚いた。
「そうなの、それは張り切っちゃったのね」
伊藤もすこし心配顔だ。
翌週も隆志からのメールが届いた。今度はさらに遠く、群馬の伊香保温泉まで出かけたという。趣味のドライブに張り切っている隆志の姿が目に浮かんだが、ちょっと張り切って遠出しすぎかもしれない。岡田は隆志からのメールに”あまり遠出をして、彼女を疲れさせてしまうのも考えものですよ” という趣旨の返信をした。
隆志から返信はすぐに到着した。
「岡田さま そうですか、確かに帰りの車中で彼女寝ちゃってましたから、少し疲れちゃったのかもしれません。僕の感覚ではあまり遠くないんですが(笑)、次回からはもう少し近いところにしようと思います。ただ、冴子さんとおつき合いを初めて、もちろん好意を抱いているのですが、その感情が思いの他穏やかなことに、正直とまどっています。僕のイメージでは、恋愛ってもっと一気に盛り上がって「好きだ!」「好きよ!」というイメージしかなかったもんですから。まるで小学生レベルの恋愛観だな…(笑)これからいろいろ経験しながら、自分の中の恋愛&
結婚に対するイメージを固めていこうと思います!」
岡田は思わず吹き出した。可愛らしいけど、確かにちょっと恋愛観が単純すぎる。現実とのギャップをうまく埋められればいいんだけど……。岡田はそこでどうアドバイスを送るべきか、思案し始めていた。
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