あなただけのラブストーリー
愛の言葉
今でも聡は“あの時”のことを思い出す。
以前、聡は毎週のように成婚コンシェルジュ小柳のところにデートの報告に来ていた。「いつも本当に楽しくて」とまるで高校生のように純粋な二人を、小柳は密かに可愛らしく感じていた。聡が真奈美を思うひたむきさが、まっすぐに心に伝わってくるのだ。
パートナ-エージェントに入会してまもなく、聡は真奈美を紹介された。最初に真奈美に感じたことは、大人の女性としての「気遣い」だ。今まで出会ったどんな女性よりも感じがよく、こんなによく気を使ってくれる人は初めてだと思った。 すぐに真奈美に好印象を持ち、彼女にもっと近づきたいと思うようになった。
もちろん真奈美も同世代の聡のことを「とてもいい方だな」と感じていた。だが、少しだけ迷いがあった。というのも真奈美は自分の年齢に引け目を感じていたのだ。
以前、年齢のせいで交際を断られた経歴がある。華奢で体も小さく、出産や子供のことを考えると難しいかもしれない、そんな自分を聡はありのまま受け止めてくれるだろうか?そんな思いが彼女の心にブレーキをかけた。
二人の交際は順調に進んでいき、週に二回は会うほどの親密な間柄になっていった。
真奈美が雑誌などで見かけたお店について「一度、ここのお店行ってみたいかも」というような話をすると、次週のデートではしっかりと準備を整えて、聡はそこに真奈美を連れて行く。聡の大人の男としてのリーダーシップと誠実さは感心するばかりだ。
それがまた彼の真奈美への愛情を示すものだとわかっていたので、真奈美にはこの上なく嬉しかった。そんな実行力のある聡であったが、どうしても「言葉」に気持ちをあらわすことが少なかった。もうここまできたら「好き」だとか「一緒にずっといたい」という言葉がいつ出てもおかしくないのに…彼からその「言葉」をひき出したい、でも…。
真奈美の中で、少しずつ不安が大きくなっていった。ある日、真奈美はおもいきって専任の成婚コンシェルジュにそのことを相談した。早速、成婚コンシェルジュを通じて真奈美の気持ちが聡に伝えられた。
聡ももちろん真奈美との将来を真剣に考えていた。子供が難しいことも了解していて、それよりもこれからの二人の時間を大事にしたい、同じ時間をできるだけ長く共有していきたい、そう考えていたのだ。しかしそれを「言葉」にする勇気がまだない。
しかし、小柳の「真奈美さん、待ってますよ」の言葉に、突き動かされた。
ちゃんと「言葉」にして自分の想いを彼女に伝えなければいけない、聡はそう決意した。1ヶ月後の彼女の誕生日を狙って、プロポーズをしようかと考えていたが、それでは彼女を長い間不安にさせてしまう。翌週、聡はお洒落な夜景の見えるレストランを予約して、真奈美をディナーに誘った。いつもと同じ楽しい食事中、言おう言おうと思っていても、なかなかその「言葉」が出てこない。結局、一言もその場ではその話をすることができなかった。店を出て路上に立った瞬間だった。 「真奈美さん、
結婚してください!」聡はおもわず叫んでいた。真奈美は驚きながらも「こちらこそ、お願いします」と、嬉しそうに応えた。
「なんだか、カッコいいんだか悪いんだか、変なプロポーズになってしまって…。」そう照れながら結婚の報告に来た二人は、本当に初々しく爽やかだった。「言葉に出して伝えることって、本当に大事ですね」そう改めて確信する聡に、「そう、これからも宜しくね」と隣の真奈美が軽く肩をぶつけながら、微笑んだ。
タメニーグループのサービスサイト
Tameny Inc. All rights Reserved.