親子仲が悪い女性は、愛されて育った男性と結婚できるか
『今日はみんなで将来の夢を書きましょう!』
教室に沸き立つ子供たちの声。
笑顔や、しかめっ面などの表情を浮かべながら、紙に鉛筆を走らせる。
教室を歩きながら、子供たちを見守る中年ぐらいの女性はひとりの女の子に声をかけた。
『へえ、お母さんになりたいんだ』
声をかけられた女の子は照れくさそうに目を伏せる。
そして、女性にキラキラとした瞳を向け、はっきりとした声でこう答える。
『私ね、ママみたいになりたいの…!』
その約2年後、私の両親は離婚をした。
あとから実家で見つけた離婚調停書が物語るように、泥沼そのものだった。
一時は母親のもとで過ごすも将来の可能性を考えた結果、父親のもとに移った私を待っていたのはつらい毎日だった。
唯一の趣味は仕事で、まさに絵に描いたような仕事人間がいきなり小学生2人を男手一つ育てる。
子供がいる人ならその大変さを想像できるかもしれないが、現実はその大変さを優に超えるものだった。
目次
親子愛のアウトソーシング
私は人一倍責任感が強かった。
父親とのコミュニケーションを大切に考え、無理に取ろうとした結果、互いに十分な理解を得ることができず、父親との仲は悪化するばかりだった。
親子仲が完全に修復したのはここ2年ほど。
およそ13年もの間、父親の愛情を疑っていたわけだ。
当時、自覚はしていなかったけれど、振り返ってみれば恋愛感情を抱く男性のどこかに父親の面影を探していた。
そして、求める愛情も父親が与えるであろう無償の愛だった。
しかし、そういった愛情を男性に求めても、返ってくる言葉は「メンヘラ」ばかり。
ただ愛されたいだけなのに……そういった気持ちを抱きながら、今のパートナーとの関係が始まった。
交際と同時に半同棲が始まり、そして同棲へと移行。
それは実家暮らしだった私が、父親と顔を合わせる機会が少なくなることを意味していた。
親の愛情≠パートナーの愛情
血の繋がった親との仲でさえ不安定だった私が、パートナーと言えども赤の他人との生活が上手くいくはずがない。
ことごとく私が求めていた愛情を理由に衝突し、そのたびに互いが消耗し続けた。
そして、父親との関係が恋愛に多大なる影響を与えているのだと、初めて気付くことになる。
親から得られなかった愛情を恋人や配偶者に求める関係性が100%上手くいかないわけではない。
でも、誰かから得たかった愛情はその人からしか得られない。
いくら相手がたくさんの愛情を受けて育った人とは言え、相手が受けてきた同じ質と量の愛情を与えてはくれないのだ。
だから、先ずは親との関係を見直すか、それが無理なら断ち切るしか道は無い。
あなたが生きているのは、過去ではなく今とこれからなのだから。