あなただけのラブストーリー 懐かしい視線 第3話
あなただけのラブストーリー
懐かしい視線 第3話
そんなふたりのデートは、週2回ほどのペースで続いていった
全て隆也の方から横浜にやって来ての、深夜の1時間きりのデートだった。 1時間だけふたりでおしゃべりして、きっちり帰っていく。 そんな隆也が申し訳なくて、どうかやめてくれと頼んだこともある美紀だったが、やがてその日が来るのを心待ちにするようになるまで、そう時間はかからなかった。
1ヶ月が過ぎるころ、美紀はかねてから思っていた疑問を口にしてみることにした。
「隆也さんって、石橋を叩いても渡らない慎重な性格だって自分で言ってましたよね。でもホントはすごく情熱的な人なんじゃないですか?」
隆也はちょっと照れ臭そうに笑って、こう応えた。
「確かに、美紀さんとのことで僕は石橋を渡った気がします。でも違うんです。今回だけは、僕は石橋をスキップで渡ってるんです。こんな気持、生まれて初めてなんですよ!」
そのとき美紀の脳裏に浮かんだのは、こちらに向かってうれしそうに駆け寄ってくる、かつての愛犬の姿だった。
――やっぱり似てる。
思わず吹き出しそうになりながら、美紀は隆也の手にそっと自分の右手を重ねた。
日差しにほんの少し春の気配を感じるようになった2月の終わり
ふたりは新宿の雑踏の中にいた。美紀が週末に休みを取って、初めての昼間のデートだった。
信号待ちで立ち止まったふたりは、どちらからともなく手を繋ぎあっていた。
「そうだ、美紀さん」隆也が前を向いたままで言った。その瞬間、隆也の左手にぐっと力が入る。
「今度、ふたりで温泉旅行に行きませんか? もし休みが取れたら……」
「うん、連れてってください」美紀は自然にそう応えていた。
うれしそうに笑う隆也の目を見つめながら、この人と一緒に生きていきたい、と美紀は思った。その目はどこかで見た愛犬のものではなく、生涯を共に過ごす伴侶の頼もしい目だった。
「どうしたの?」
「ううん、何でもない」
ふたりは手をつないだまま、人ごみの中に歩み出して行った。
Story Lists
- STORY.1 懐かしい視線 第1話|第2話|第3話
- STORY.2 セカンドチャンス 第1話|第2話|第3話
- STORY.3 ミッション・コンプリート 第1話|第2話|第3話
- STORY.4 恋の準備期間は3ケ月
- STORY.5 パズルのかけら
- STORY.6 マイピーアール
- STORY.7 条件を乗り越えた先にあった、運命の人
- STORY.8 勘違いも恋の媚薬
- STORY.9 星に願いを
- STORY.10 運命のツボ
- STORY.11 縁は、縁を呼ぶ
- STORY.12 愛の言葉
- STORY.13 恋に条件はない
- STORY.14 めぐり逢い
- STORY.15 たった一人に出会うために
- STORY.16 チャンスはあなたのそばにある
- STORY.17 大人の恋には・・・ワケがある
- STORY.18 愛を引き寄せる力
- STORY.19 たった一人のためのサプライズ
- STORY.20 迷いの先に見えたもの
- STORY.21 国籍を超える想いとは?
- STORY.22 諦めずに、探し続けてて本当に良かった!
- STORY.23 自ら意志を持って…
- STORY.24 青い鳥はここに…
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