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交際1カ月半でプロポーズ。「とりあえず結婚しよう」からベストパートナーに

交際1カ月半でプロポーズ。「一緒にいて退屈しない。ずっと一緒にいていいんじゃないか」

佐藤 茂(タメニー株式会社(旧株式会社パートナーエージェント) 代表取締役社長。以下、佐藤)

佐藤

まずはお2人のなれそめから伺えますか。

澤 円(大手外資系IT企業 業務執行役員、テクノロジーセンター・センター長。琉球大学 客員教授。)

澤 円
澤 円

もともとは職場が同じだったんです。といっても彼女は派遣社員で、顔を知っている程度。話したこともありませんでした。お互いの名前すら知らなかったんです。

それがある時、知人が食事会をセッティングしてくれて、その人と僕ら2人、それに僕の上司という4人で食事に行くことになりました。セッティングしてくれた知人は実のところ、僕の上司と話をしたかったんですね。要は僕ら、ダシに使われたんです(笑)。

そんなわけで食事会の間も僕ら2人は放っておかれて、気付けば上司とその人はいなくなっていました。残された僕らは2人で別の店に移動したのですが、話してみると音楽や映画の趣味がドンピシャだったわけです。

僕は当時39歳でしたが、39歳にもなると人との相性を見極めるのが早くなります。僕は相手と何回か食事に行くうちに「ここがダメ」「あそこがダメ」「これが合わないからこの人とは友達のままで」と減点法で相性を判断していきます。けれど彼女に関しては、減点ができなかった。とにかくすべてが採点基準から“ズレた”ところに立っていたんです。

彼女は美術大学を出てイラストレーターや造形作家を目指していましたから、僕とはカテゴリー自体が違いました。当時の彼女は服装が派手だったので、そんなところからも“ズレている”と感じました。そういう“ズレている”ところに興味を持ったんです。

僕は当時、「結婚したい」とは全く思っていませんでしたし、「いつか結婚しなければいけない」とも思っていませんでした。1人で生きていくのもいいと考えていました。それでも彼女と出会って、「一緒にいて退屈する要素がない。ずっと一緒にいて退屈しないのなら、ずっと一緒にいていいんじゃないか」という結論に至りました。

そうして付き合い始めたのが食事会の1カ月後のことで、さらに1カ月半後にプロポーズしました。僕には“結婚しない理由”がなかったんですね。問題は、彼女からすれば“結婚する理由”がなかったということですが(笑)。

澤 奈緒(造形作家。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒。)

澤 奈緒
澤 奈緒

私はそのころ、とにかく忙しかったので、結婚は考えられない状態でした。

澤 円

僕の方は自分の都合で、「とりあえず結婚してから考えようか」と説得していました。慌てて結婚しなければいけない理由はないんだけれども、しない理由もないですから。

とはいえ数カ月前までお互いの名前すら知りませんでしたから、プロポーズしても最初のうちは信じてもらえませんでした。

澤 奈緒

私は相手との関係を進めるのにすごく時間をかけるタイプなので、付き合ってから結婚するまで最低1年は必要だと思っていました。ですから、2カ月半で「結婚しよう」と言われても、あまりに突然で。

森本 千賀子(株式会社morich 代表取締役社長。以下、森本)

森本

円さんは、なぜ2カ月半という短期間でプロポーズしようと決意できたのでしょう?

澤 円

僕からすると、自分の中の決定事項を伝えただけだったんですよね。2人で出かけるたびに彼女はいろいろと“ズレた”ことをするので、とにかく一緒にいて退屈しない、面白いと思っていました。

僕は1人暮らしが長かったので、たいていのことは自分でできます。ですから相手に「何かをしてほしい」というのも特にないわけです。そんな僕が彼女に出会って「一緒にいて面白い。こんな面白い人がいるんだ」ということに初めて気付けた。だから「結婚したい」と思ったんです。

子どものころは「楽しくないな、人生って」。今は楽しくないことがほとんどない

森本

結婚願望がなかったというお2人ですが、結婚して良かったと思いますか?

森本 千賀子

澤 円

僕は子どものころ、家族が家にいないことが多かったこともあって、家に帰って安心することがありませんでした。運動が苦手だったので、学校も楽しくなかった。ですから子どものころは「楽しくないな、人生って」と思っていました。

けれど今は、家に帰るのが楽しみ。どの時間を切り取っても、楽しくないことがほとんどないんです。

澤 奈緒

私は親にたくさん怒られて育ったので、家にいても常に怯えていました。怒られると萎縮しちゃって何もできなくなってしまって。今は萎縮することはありませんね。お互いに怒ることにはエネルギーを使わないんです。

彼は方向音痴なのでよく道に迷うんですが、そういうときに私は怒らないで黙って待っています。私の方は引き出しや戸棚を開けっ放しにしてしまうことが多くて。でも彼はそれを「生きた証」と呼んでくれて、怒りはしません。怒るよりも2人で楽しむことに時間を使いたいと思っています。

澤 円

時間は限られています。その時間を、いかに楽しいことに集中して過ごすか。僕たちは子ども時代に楽しめなかった分を取り戻そうと、今は楽しむことに大忙しなんです。

迷うくらいなら、とりあえず結婚。10年経った今ではベストパートナー